川田将雅「楽なメンバー構成」韓国はまるで“公開調教”!? 計14馬身差V2の快挙も、その裏でライバルに“逆転”許す
1年半近く勝利がない7連敗中の馬とは思えない圧巻の走りだった。
10日、韓国のソウル競馬場で行われた韓国国際競走として、コリアスプリントとコリアCのG3・2レースが開催。両レースを制したのは、日本から参戦したJRA所属馬だった。
特にレベルの差をまざまざと見せつけたのは、ダート1800mを舞台に行われたコリアCのクラウンプライド(牡4歳、栗東・新谷功一厩舎)である。外目の枠から好スタートを決めると、2番手で最初のコーナーへ。向正面で早くも先頭に躍り出ると、後続を引きつけながら、楽な手応えで4コーナーを迎えた。
450mある最後の広い直線で、鞍上の川田将雅騎手に軽く促されたクラウンプライドはグングンと加速。同じく日本から参戦していたグロリアムンディとの差は開く一方で、最後は同馬に10馬身の差をつける圧勝だった。
「いや、強かったですね。残り200mあたりから川田騎手の手はほぼ動くこともなく。2022年3月のUAEダービー(G2)を勝ったのを最後に善戦続きの7連敗中の馬とは思えない、最後はまるで“公開調教”のようなパフォーマンスでした。
2着のグロリアムンディもダイオライト記念(G2)と平安S(G3)を連勝中の実力馬ですが、全く歯が立ちませんでしたね。川田騎手はコリアスプリントでもリメイクに騎乗して4馬身差勝利を収めています。この日のソウル競馬場はまさに“川田デー”だったといえるかもしれません」(競馬誌ライター)
コリアCのレース後、川田騎手は現地ファンを前に勝利騎手インタビューでこう答えていた。
「楽なメンバー構成」韓国はまるで“公開調教”!?
「今日のレースだけで言えば、サウジやドバイに比べると、メンバー的にも、もう一つ楽なメンバー構成だと思いますので『この馬らしく走りさえすれば』というところだった」
いかにも川田騎手らしい率直なコメントだが、「楽なメンバー構成」という言葉を聞いた通訳者が「(他馬が)弱いということでしょうか?」とその真意を確認。これには川田騎手が「うーん、そうやってストレートな表現ではなく……。うーん」とやや戸惑うシーンもあった。
ただ、韓国競馬のレベルは低いかと言われると決してそんなことはなく、昨年のコリアCではセキフウが3着、コリアスプリントではラプタスが2着に敗れているのも事実。ずっと日本馬が韓国馬を無双しているわけでは決してない。
そんな韓国で1日2重賞制覇の快挙を遂げた川田騎手だが、日本を留守にした「たった1日」の間に2つの大きな変化があった。
1つ目は、2023年サマージョッキーズシリーズの行方である。前週時点で川田騎手が僅差の首位に立っていたが、京成杯オータムH(G3)を制した松山弘平騎手が土壇場で逆転に成功し、初のシリーズチャンピオンに輝いた。
2つ目は、全国リーディング争いで前週まで5勝差をつけていたC.ルメール騎手が2日間で11戦6勝の大活躍。川田騎手も渡韓前日の土曜日に1勝を挙げていたが、勝利数でルメール騎手に並ばれてしまった(2着の数で1位ルメール騎手、2位川田騎手)。
秋競馬の開幕週にたった1日留守にした川田騎手にとって、2つの争いで2位に陥落したのは想定外だったかもしれない。