【京王杯2歳S(G2)展望】ボンドガール、チェルヴィニアに「借り」がある馬。2連勝中コラソンビートが中心か

 11月4日、東京競馬場では暮れの2歳G1につながる重要な前哨戦・京王杯2歳S(G2)が行われる。朝日杯フューチュリティS(G1)の2枚の切符を手にするのは果たしてどの馬か。

 中心は未勝利、ダリア賞(OP)を連勝中のコラソンビート(牝2歳、美浦・加藤士津八厩舎)か。

 新種牡馬のスワーヴリチャード産駒は6月の東京2歳新馬でボンドガール、チェルヴィニアという良血馬2頭の後塵を拝し3着。その後、ボンドガールがサウジアラビアロイヤルC(G3)2着、チェルヴィニアがアルテミスS(G3)勝利と、大きく出世している。

 そしてコラソンビートも2戦目を順当に勝ち上がると、ダリア賞でも断然1番人気に応えて連勝。2戦目で東京マイル戦を、3戦目で1400m戦を勝利している点は大きな強みで、12月の阪神ジュベナイルF(G1)でリベンジするためにも、ここは負けられない戦いだ。


 今年は夏の小倉2歳S(G3)で接戦を演じた2頭も有力候補の一角だ。

 夏の中京でデビューしたアスクワンタイム(牡2歳、栗東・梅田智之厩舎)は、初戦こそ勝ち馬に3馬身半差をつけられる完敗だったが、中1週で臨んだ未勝利戦で変わり身を見せて5馬身差圧勝。さらに5番人気だった小倉2歳Sで、4角後方2番手から直線で鋭く伸びて先行馬をまとめて差し切った。

 デビューから鞍上を務めるのは、今年重賞を5勝している5年目の岩田望来騎手。前走後には「1200mでなくても、距離が延びても大丈夫ではないかと思います」とコメントしており、1400m戦にも対応は可能だろう。

 それを5年前に実践したのが全兄のファンタジストだ。同馬は新馬、小倉2歳S、京王杯2歳Sとデビューから3連勝すると、続く朝日杯FSでも4着に健闘。さらに3歳初戦のスプリングS(G2)は2着と距離延長にもしっかり対応していた。

 初戦を落とした弟だが、同じく3連勝で当レース制覇を目指す。レース中に非業の死を遂げた兄が果たせなかったG1制覇へ向けて、ここで負けるわけにはいかない。


 小倉2歳Sでアスクワンタイムにアタマ差及ばず2着だったミルテンベルク(牡2歳、栗東・武英智厩舎)。こちらは6月阪神の芝1200mでデビューし、2番手追走から抜け出して3馬身差で快勝を収めた。

 約3か月の間隔を空けて臨んだ小倉2歳Sでは14kg増と馬体はひと回り大きくなり、2番人気の支持を受けた。初戦に続き好スタートを切ったが、この時は中団に控える競馬。勝負所で外を上がっていき、直線でさらに外から伸びてきたアスクワンタイムとの一騎打ちは、いったんアスクワンタイムに半馬身ほど差をつけられたが、ゴール前で盛り返す勝負根性を見せた。

 結果は同タイムの惜敗だったが、デビューから3戦目だった勝ち馬に対し、ミルテンベルクは同2戦目。キャリアの差もあったか。これまでの2戦は藤岡康太騎手が鞍上を務めていたが、今回はJ.モレイラ騎手に乗り替わる。


 夏の函館で2連勝を飾ったゼルトザーム(牡2歳、栗東・加用正厩舎)も侮れない存在だ。

 初戦は6月の函館ダート1000m。スタートでやや立ち遅れたものの、ダッシュを利かせて好位を確保すると、4角4番手から力強く伸びて1番人気に応えた。

 2戦目は1か月後の函館2歳S(G3)だった。初めての芝とあって、10番人気の伏兵扱いだったが、大外15番枠から好スタートを決めると、好位5番手を確保。外有利な馬場も味方につけて直線で鋭く伸びると、粘るナナオを差し切って最後は1馬身差をつけた。

 返し馬の時点で「芝の走りは良さそう」「雨が降って馬場が重くなったのもこの馬にはプラス」に感じたという浜中俊騎手。レースでも「3コーナーで手応えは良かったし、4コーナーで少し合図を出したら反応があった」と競馬センスの高さにも言及していた。今回は東京の軽い芝が舞台となるが、良馬場で勝ち負けできるようなら世代の短距離路線を引っ張る存在になる。鞍上は引き続き浜中騎手が務める。


 未勝利、カンナS(OP)を連勝中のオーキッドロマンス(牡2歳、美浦・手塚貴久厩舎)は、新種牡馬ロジャーバローズの産駒。すでに4戦のキャリアを誇り、前走後には管理する手塚師も「一戦ごとに競馬慣れして、レースにも幅が出てきました」と成長に手応えを感じさせるコメントを残している。3連勝での重賞制覇はなるか。

 この他には、初戦3着の後、今回と同舞台の東京芝1400mで行われた未勝利を1分21秒7の好タイムで勝利したアグラード(牡2歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)、初戦を快勝した希少なバンドワゴン産駒のバンドシェル(牡2歳、栗東・西村真幸厩舎)、スピードに定評がある外国産馬のジャスパーノワール(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)なども楽しみな存在だ。

 昨年は10番人気オオバンブルマイと11番人気フロムダスクがワンツーを決め、三連単は222万円超えの大波乱となった。今年は実力馬が人気に応えるのか、それとも穴馬の台頭はあるのか。京王杯2歳Sは11月4日の15時35分に発走予定となっている。

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