【天皇賞・秋】レコード勝ちイクイノックスに気になるジンクス? 優勝は武豊スペシャルウィークのみ…ジャパンC(G1)制覇に不吉な前兆
先週日曜に行われた天皇賞・秋(G1)を、1分55秒2の超絶レコードで優勝したイクイノックス(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)。電光掲示板に刻まれた勝ち時計と「レコード」の文字を目にした瞬間、誰もが信じがたい数字と思っただろう。
そもそも勝ちタイムが「1分55秒2」と聞いただけでは、ダート1800mのレースか、超スローの芝1800m戦と勘違いしてもおかしくない。本当に芝2000mで争われたレースなのかと一瞬疑ってしまうくらいのスーパーレコードといっていい。
ただそれと同時に、イクイノックスは陣営も体質的な弱さを気にしている馬である。これだけの時計を叩き出したことで、レース後の反動を気にしたファンも多かったのではないか。
実際に自厩舎に戻って一夜を過ごしたイクイノックスは、飼葉を少し残すなど、疲れた様子だったとのこと。大目標であるジャパンC(G1)まで中3週しかないものの、陣営は「この1年で培った経験が活きてくるはず。短い期間でも走れるようになったイクイノックスをお見せしたい」と、次に向けて前向きなコメントを残している。
なお秋の天皇賞を勝ったことで、獲得賞金は17億1158万2100円となり、歴代6位に浮上。1着賞金5億円のジャパンCを勝てば、アーモンドアイを抜いて歴代トップに躍り出るとともに、史上初の20億円ホースとなる。しっかりとケアをし、万全の状態で大一番を迎えてほしいところだ。
レコード勝ちイクイノックスに気になるジンクス?
ただ、そんな天皇賞・秋をレコード勝ちしたイクイノックスにとって、少々気になるジンクスも存在している。
秋の天皇賞が東京・芝2000mで開催されるようになった1984年以降、レコードタイムで勝利を収めた馬は過去7頭いるのだが、まずはそちらをご覧いただきたい。※()は勝ちタイム、着順はジャパンC。
1984年 ミスターシービー(1分59秒3)→10着
1985年 ギャロップダイナ(1分58秒7)→7着
1986年 サクラユタカオー(1分58秒3)→6着
1990年 ヤエノムテキ(1分58秒2)→6着
1999年 スペシャルウィーク(1分58秒0)→1着
2008年 ウオッカ(1分57秒2)→3着
2011年 トーセンジョーダン(1分56秒1)→2着
三冠馬ミスターシービーや、シンボリルドルフを下して大金星を挙げたギャロップダイナ、牝馬で64年ぶりに日本ダービー(G1)を制したウオッカなど、錚々たる面々だ。面白いことに上記7頭は次走、もれなくジャパンCに駒を進めていた。
ミスターシービーはジャパンCで1番人気に支持されたものの、キャリアで唯一の二桁着順となる10着に敗戦。イクイノックスの血統表に名を連ねるサクラユタカオーも、同じく1番人気に推されたが掲示板外の6着に敗れた。イクイノックスが更新するまでレコードホルダーだったトーセンジョーダンは、天皇賞・秋で負かしていたブエナビスタに逆転を許してしまっている。
つまり、優勝を果たしたのは、1999年に武豊騎手とのコンビで臨んだスペシャルウィークたった1頭しかいなかったのだ。
着順的にも【1-1-1-4】となっており、1勝6敗の勝率にして約14.3%という数字は、イクイノックスにとって不吉かもしれない。
もはや負ける要素がゼロに感じられるほど圧倒的な強さを証明した世界ナンバーワンホースだが、このジンクスを克服することができるだろうか。