【有馬記念】「信じられない気持ち」初G1制覇もその後1戦で乗り替わり…松山弘平が「思い入れのある馬」全弟と臨むグランプリ
24日にゲートが開かれる有馬記念(G1)。今年は同レース史上初となる、3世代のダービー馬が顔を揃えることでも話題を集めている。
68回目にして実現することになった理由の1つとして、一昨年のダービー馬シャフリヤール(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)が急遽参戦を決めたことが挙げられる。
同馬は10日の香港ヴァーズ(G1)に出走を予定していたものの、主催者側から健康上の問題で出走が認められず、戦わずに無念の帰国。管理する藤原調教師は馬次第で有馬記念出走も検討するとしていたが、ゴーサインが出る運びとなったようだ。
イレギュラーな臨戦過程ではあるが、これまで数カ国のレースに出走するなど遠征経験が豊富なのは心強い点だ。ダービー後にもドバイシーマクラシック(G1)を制し、先月開催された北米最高峰の芝レース・ブリーダーズCターフ(G1)で差のない3着に入るなど、実績は申し分ない。状態面に問題がなさそうであれば、好勝負は可能だろう。
なお有馬記念では新パートナーの松山弘平騎手が騎乗する。
先週終了時点で111勝をマークするなど、毎年の目標と話している年間100勝を4年連続でクリアした同騎手。10月にはJRA通算1100勝を達成するなど、今年も充実したキャリアを築いている松山騎手だが、シャフリヤールと臨むグランプリは思いのほか気合の入る一戦となるかもしれない。
なぜならシャフリヤールは、自身に初G1のタイトルをもたらしてくれたアルアインの全弟だからだ。
「思い入れのある馬」全弟シャフリヤールと臨むグランプリ
当時27歳でデビュー9年目だった松山騎手は、アルアインとのコンビで2017年の皐月賞(G1)を優勝。9番人気の低評価を覆して初G1制覇を飾った同騎手がレース後、「信じられない気持ちです」などと感無量のコメントを残したのも当然だろう。
ただ、クラシック第一弾を制したにもかかわらず、二冠目の日本ダービー(G1)を前に、アルアインの鞍上は一時未定になるなど、不穏なムードに。引き続き手綱を取ったダービーで5着に終わると、同年秋にはC.ルメール騎手に乗り替わりとなってしまった。
その後も松山騎手の元に手綱はなかなか戻ってこず、アルアインは2019年に大阪杯(G1)を制したが、馬上には北村友一騎手の姿があった。結局同馬の騎乗依頼が再び松山騎手にやってきたのは同年の暮れ、ラストランとなった有馬記念であった。
それでも松山騎手は2年7ヶ月ぶりとなるアルアインへの騎乗を前に、『中日スポーツ』に連載する自身のコラム『松ちゃんの弘平ジャッジ』の中で「とても思い入れのある馬ですし、引退レースを任せてもらえて本当に光栄」と感謝の言葉をつづっている。ちなみに同騎手は、これが有馬記念初騎乗でもあった。
それから4年後となった2023年、アルアインの全弟シャフリヤールとグランプリで新コンビを結成することとなったのも、何かの縁だろうか。兄アルアインとは11着に大敗したが、弟シャフリヤールでは好結果を期待したい。