【京成杯】C.ルメール×国枝栄厩舎が「ダービー予約」の破棄から再挑戦!悲願の牡馬クラシック制覇に向け、三冠牝馬アパパネの仔が試金石の一戦

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 14日、中山競馬場では3歳世代のクラシックを占う重要なステップ、京成杯(G3)が行われる。

 本番と同じ中山の芝2000mを舞台に争うこのレースからは、昨年優勝したソールオリエンスが皐月賞(G1)を優勝。今年の出走馬にも将来性豊かな素質馬たちが集まった。

三冠牝馬アパパネの仔が試金石の一戦

 中でも注目したいのは、C.ルメール騎手と関東の名門が送り込むバードウォッチャー(牡3、美浦・国枝栄厩舎)だ。父はディープインパクトの全兄ブラックタイド、母はアパパネと、血統的にも三冠馬と縁のある良血馬といえるだろう。

 まだ1勝馬の身ではあるが、11月東京の芝1800mを制したデビュー戦の勝ち方はなかなかだった。

 勝ちタイムの1分50秒3は目立たないものの、12頭立てのレースを最後の直線で後方から上がり3ハロン33秒5の末脚を披露して差し切り勝ち。前半1000m通過が63秒3の超スローだったことを思えば秀逸である。手綱を取ったルメール騎手が、レース後のコメントで「ポテンシャルが高いです」と上々の評価を与えたのも好材料だ。

 そして、本馬を管理する国枝調教師にも力が入る理由がある。

 牝馬三冠に輝いたアーモンドアイやアパパネらの名牝を育てた名伯楽ながら、不思議なことに牡馬のクラシックとは縁がない人物。こちらについては師もたびたび「ダービーを獲りたい」と公言しており、競馬サークルの七不思議と囁かれているほどなのだが、調教師の定年は残念ながら70歳。今年で69歳を迎える師に残されたチャンスは少ない。

 その一方で、ルメール騎手と国枝調教師のコンビで知られたダービー馬候補として思い出されるのは、3年前の冬に大きな注目を集めたコマンドラインの存在。本馬はデビュー前から身体能力の高さを絶賛され、噂に違わぬ走りでデビュー戦と2戦目のサウジアラビアロイヤルC(G3)を連勝した。超大物候補の追い切りに跨ったルメール騎手の口から「ダービーを予約しておきます」という言葉が出たのだから、その期待のほどは相当に大きかっただろう。

「無傷の3連勝を期待されたホープフルS(G1)を1番人気で12着に惨敗してから別馬のように伸び悩んでしまいましたね。翌年3月の毎日杯(G3)も5番人気で8着に凡走。なんとかダービーと名のつくレースに出走したものの、ジャパンダートダービー(G1)という不本意なオチもつきました。

同レースで14着に敗れると、その後もルメール騎手が鞍上に戻ったキャピタルS(L)で最下位に惨敗。去勢後に1年の休みを挟んで出走したアンドロメダS(L)も見せ場もない14着に敗れ、先日には障害試験を合格したという情報が出ていましたね。新天地で巻き返しの期待される馬です」(競馬記者)

 過去にそんな経緯のあったルメール騎手と国枝厩舎だが、もしバードウォッチャーが試金石となる京成杯であっさり勝利を収めるようなら、クラシックでのコンビ継続もあるはずだ。既にルメール騎手には、牡馬を相手に昨年のホープフルSを制したレガレイラもおり、本馬は皐月賞を目標にしているが、名手の心を迷わすくらいの激走に期待したい。

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