C.ルメール「勝ち馬は驚くくらい強かった」G1の舞台で超大物誕生の予感? 圧倒的な強さに陣営は米クラシックも視野…気になるのは「鞍上問題」の行方か
11番人気の大穴ペプチドナイルの勝利という大波乱に終わった今年のフェブラリーS(G1)。ドンフランキーが飛ばした超ハイペースの流れを外目の4番手から抜け出す強気な競馬で初重賞勝ちがG1のオマケつき。6年ぶりの制覇でG1・2勝目を挙げた藤岡佑介騎手の好騎乗も光った。
勝ちタイムの1分35秒7(良)は例年並みではあったものの、前半3Fが33秒9で流れたこともあり、ペプチドナイル以外の先行勢は総崩れ。後方から末脚を伸ばした馬に向く展開だったかもしれない。
フェブラリーSでも善戦したかもしれない超大物登場か
そんな今年のフェブラリーSだった訳だが、1時間ほど前に行われた3歳限定のヒヤシンスS(L)もG1に引けを取らないほど、見どころのあるレースだったことにも触れておきたい。
G1と同舞台の東京ダート1600mを舞台に争われた一戦で、1番人気に推されたのはC.ルメール騎手が騎乗したアンクエンチャブル。道中を好位の3番手につけてリズムよく走り、最後の直線を力強く抜け出した姿に完勝の予感すらあった。
しかし、これをとても届かないような位置から差し切ったのが、三浦皇成騎手が騎乗していた5番人気ラムジェット(牡3、栗東・佐々木晶三厩舎)だ。
後方待機策を採った同馬は、11頭立てのレースで最後の直線でも10番手。三浦騎手が激しいアクションを見せていただけに、手応えが悪いようにも映ったものの、そこから長くいい脚を使い、勝ちパターンに持ち込んでいたアンクエンチャブルを差し切っただけでなく、ゴール板を通過した際には3馬身もの差をつけていた。
これには2着に敗れたルメール騎手も「勝ち馬は驚くくらい強かったです」と脱帽。これまで数多くのG1馬に跨ってきた名手ですら驚きを隠せなかったのだから、ラムジェット陣営としては嬉しい誤算といったところか。
この勝利には三浦騎手から「距離が延びていいのは間違いない」「内容的には完勝」とパートナーの能力に太鼓判。陣営から「招待されればUAEダービー(G2)、その後のケンタッキーダービー(G1)」というプランまで飛び出した。
「三浦騎手によると、あれでもまだ抜け出してから遊んでいたらしいですよ。ラムジェット陣営が自信を深めたのも頷ける強さでした。どれだけ凄かったのかというと、勝ち時計でしょうか。同日メインのフェブラリーSで5着に入ったキングズソードの走破時計が1分36秒0、そこから3馬身離された6着レッドルゼルが1分36秒5でした。
ラムジェットの勝ち時計1分36秒3は、単純な時計比較でレッドルゼルに先着している想定です。しかもまだ成長途上の3歳馬ですから、世代トップクラスの評価は妥当といえそうです。ただ気になるのは、もしかしたら鞍上問題が発生するかもしれないことです」(競馬記者)
確かに言われてみれば、日本馬が海外のレースに遠征する際、三浦騎手に限らず乗り替わるケースが珍しくない。実際、かつて三浦騎手が主戦を任されていたダンシングプリンスがサウジカップデーに行われるリヤドダートスプリント(G3)に出走したときは、ルメール騎手に乗り替わっての勝利だった。
三浦騎手の継続騎乗に期待したいところだが、JRA・G1未勝利の実績を考えると、鞍上交代の可能性はゼロではない。はたして三浦騎手の継続騎乗は叶うだろうか。超大物登場を予感させたラムジェットの今後に注目だ。