かつてのスプリント王がサウジで日本馬を返り討ち!? 3000mで圧倒的な強さを見せた「元快速馬」にファンも困惑
現地時間24日にサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われたサウジC(G1、ダート1800m)は、最後の直線で大外から脚を伸ばしたアメリカのセニョールバスカドールが勝利。川田将雅騎手騎乗のウシュバテソーロは惜しくもアタマ差の2着に敗れた。
サウジCをはじめ、今年のサウジカップデーは6つの重賞が行われ、そのすべてに日本馬が出走。このうちオープニングを飾ったサウジダービー(G3、ダート1600m)を矢作芳人厩舎のフォーエバーヤングが、続くリヤドダートスプリント(G3、ダート1200m)を新谷功一厩舎のリメイクがそれぞれ勝利し、日本の競馬ファンも盛り上がった。
さらに1351ターフスプリント(G2、芝1351m)のララクリスティーヌと、ネオムターフ(G2、芝2100m)のキラーアビリティがそれぞれ2着に好走。サウジCを含めた全6重賞のうち4レースで日本馬が連対する健闘を見せた。
そんな中、唯一日本馬が2着以内に入れなかったのが、サウジCの直前に行われたレッドシーターフH(G3、芝3000m)だ。最大で62kgを背負う過酷な長距離ハンデ戦には日本から4頭が参戦していたが、エヒトの5着が最高着順だった。
他にもブレークアップが9着、リビアングラスが10着、アイアンバローズが12着と軒並み敗れる結果となったレッドシーターフHだが、“思わぬ形”で注目を浴びることになった。
日本馬の中にG1級が不在とあって、それほど注目度は高くなかった一戦。しかし、レース後にSNSやネットの掲示板でファンがざわつく事態に発展している。
かつてのスプリント王がサウジで日本馬を返り討ち!?
「3000mの一戦を制したのは、アイルランドのタワーオブロンドンという馬でした。ピンと来たファンも多いと思いますが、つい数年前まで日本で同名の馬が走っていました。
日本のタワーオブロンドンは、C.ルメール騎手とのコンビで2019年のスプリンターズS(G1)を制するなど短距離重賞を5勝した快速馬。13着に敗れた20年の香港スプリント(G1)を最後に引退し、21年シーズンから種牡馬入りしています」(競馬誌ライター)
そんな近年屈指の名スプリンターと同名の馬が3000mの長距離戦を制したことで、SNSでは「いつ現役復帰したの?」、「スプリンターだと思っていたのにいつの間にかステイヤーに転身」といった戸惑うファンの投稿も数多く見られた。
また、「G1馬と同じ名前っていいの?」という疑問の声や、中には「もし日本で種牡馬入りしたらややこしいな」など、レース後の反響はG3のそれとは思えないものとなった。
ちなみに日本では過去に登録された馬名であっても、登録抹消から5年以上が経過していれば、同じ馬名を付けることができる。ただし、G1を勝てば例外になるなど細かなルールが存在する。
今年のレッドシーターフHを勝ったタワーオブロンドンはアイルランド馬のため、このルールは適用外だが、日本のタワーオブロンドンはG1勝ち馬でもあり、違和感を覚えたファンも少なくなかったようだ。
引退から3年2カ月。思わぬ形で再注目を浴びた日本のタワーオブロンドンは、早ければこの夏にも初年度産駒がデビューする予定。いつの日か海外でも注目されるような産駒の誕生に期待したい。