【弥生賞】ドウデュース、ワグネリアン、マカヒキも敗戦…過去10年で最多勝の共同通信杯組と明暗、「13連敗中」皐月賞トライアルの謎
今週末の3月3日に中山競馬場で行われる弥生賞ディープインパクト記念(G2)。本番の皐月賞(G1)と同じ芝の2000mが舞台の重要なステップである。
武豊騎手が騎乗を予定していたサンライズジパングが、28日の追い切り前に右トモに違和感があるとして回避。陣営の話によると皐月賞に直行する見込みらしい。有力馬の離脱は残念であるものの、大事に至らなかったことは不幸中の幸い。追い切りに駆け付けて感触を確かめたレジェンドのファインプレーといえるのではないか。
それでもアイビーS(L)で破ったレガレイラがホープフルS(G1)を制したダノンエアズロック、そのホープフルSで2着のシンエンペラーが参戦するだけに注目の一戦であることに変わりはない。
他にもC.ルメール騎手が騎乗するレイデオロ産駒のトロヴァトーレ、横山武史騎手が騎乗するファビュラススターは、デビューから2連勝中。ハイレベルのメンバーが集まった弥生賞を勝てば、皐月賞の有力候補として評価されるだろう。
東京の共同通信杯組、中山の弥生賞組に皐月賞で明暗
その一方で、皐月賞が同舞台であるにもかかわらず、近年で前走・弥生賞組の不振が続いている点にも触れておきたい。
実際、昨年の勝ち馬タスティエーラをはじめ、2年前のドウデュース、2018年のワグネリアン、16年のマカヒキなど、世代トップクラスの馬が出走していたものの、皐月賞で悉く敗戦。弥生賞を使われて本番を制した直近の馬となると、2010年のヴィクトワールピサまで遡らなければならない。この背景に17年からG1に昇格したホープフルSの存在も無関係とはいえないとはいえ、さすがに13連敗までいくと無視できなくなる。
「弥生賞組が皐月賞をしばらく勝てていないことは知っていましたけど、13年も続いていたのは意外です。武豊騎手で弥生賞を勝ち、落馬で乗れなくなった皐月賞は岩田康誠騎手とのコンビでしたね。
その反面、はっきりとした理由は分からないものの、共同通信杯(G3)を使われた馬の好成績が目立ちます。こちらは東京の芝1800m条件のため、どちらかというと日本ダービー(G1)を意識して使う陣営も多いですが、ちょっとした逆転現象が発生しているようです」(競馬記者)
調べてみたところ、ヴィクトワールピサ以前は、弥生賞やスプリングS(G2)を経由した馬が好成績を収めており、共同通信杯組も目立っていなかった。偶然に過ぎないだけの可能性はあるのだが、12年のゴールドシップくらいから流れが変わった印象だ。
かといって、弥生賞組のレベルが下がったと評するには難しい。先述した4頭はいずれもダービー馬であり、近10年で弥生賞を使われたことのある馬は5頭もいる。
ただ、データや傾向はあくまで過去の話でもあり、毎年少しずつ変わっていくもの。この不思議な現象についても結果論に過ぎない。それを承知の上で言えそうなことがあるとしたら、東京と中山でコースが異なる共同通信杯と弥生賞だが、イメージとしては前者が中山の皐月賞で後者が東京の日本ダービーと相性のいい年が増えているということだ。
そういう意味では、今年の弥生賞も小回り中山という先入観を捨てて予想をした方がいいのかもしれない。