【金鯱賞】「名物オーナー」の初重賞制覇から44年…イメージ重なる今年の「中京巧者」と5連勝中ドゥレッツァの評価は?【東大式必勝馬券予想】
今年も3月9日がやってくる。今もこの日付を聞くと胸がざわつくのは、その日が私の高校の卒業式だったから。前日に東大2次試験を終え、帰りの新幹線の中で謝恩会のMC台本を書いたな~。
当日は♪制服の胸のボタンを下級生たちにねだられ~斉藤由貴『卒業』の世界が待っていた。時は流れ、イマドキ高校生の人気No.1卒業ソングが、レミオロメンが歌うその名もズバリ『3月9日』だそうだ。
競馬の方はその3月9日、第1回中京競馬が始まり10日は金鯱賞(G2・芝2000m)だ。レース名は尾張名古屋城のシンボル、金のシャチホコに由来するのだが、昭和40年の創設当時は中京競馬場に芝コースが無く、ダートでもない“砂馬場”で行われていた。
昭和46年から芝1800m、1996年に芝2000mのG2格上げを経て2017年に3月開催となり、大阪杯(G1)、宝塚記念(G1)を目指す有力馬が集結。リスグラシュー、サートゥルナーリア、デアリングタクトらが年明け初戦に選び、スワーヴリチャード、ジャックドールが後にG1馬となった。
それ以前の勝者にも1998年サイレンススズカの大差勝ちを筆頭に3連覇のタップダンスシチーなど名馬が顔を並べるが、今回は昭和55年の覇者、マリージョーイを記しておこう。
昭和54年1月に中京競馬場の新馬戦・芝1400mをデビュー勝ち、続く中京の雪割草特別も連勝した彼女は鞍上に天才・福永洋一を配して不良馬場の阪神・春蘭賞9着の後、何とかクラシック戦線に乗ろうと同コンビで阪神・毎日杯に駒を進める。
オールドファンならお気づきだろう、JRA史上に残る悲劇の落馬事故、その当事者となってしまうのだ。子息の福永祐一・現調教師がまだ2歳の時である。父・洋一は一命をとりとめたものの騎手としての復帰は叶わず。一方マリージョーイの方は転倒するも大事に至らず、桜花賞14着、オークスは最下位の24着、夏の函館条件戦も6、4、6着でその年を終える。
当時大学2年の私は、福永騎手の闘病中にもやもやした気持ちを禁じえなかった。そのマリージョーイは翌年6月、中京で条件特別2、1着の後、当時7月開催だった金鯱賞に出走する。
映像も詳細データも残っていないので16頭立て・ハンデ49キロ・4番人気(単勝オッズ10.8倍)で2着ハシハリーに2馬身1/2差、勝ちタイム1:48.1としかお伝えできないのが残念だが、とにかく初重賞制覇。暮れにはCBC賞も制し、翌年2月の中京記念12着を最後に競走生活を終えた。
全5勝が中京競馬場という「中京巧者」もさることながら、さまざまな人馬の因縁が見えてくる希代の馬だ。
まず馬主が“珍名馬主”として知られる小田切有一氏。ノアノハコブネ(オークス)を嚆矢として、ワナ、モチ、オレハマッテルゼ、イヤダイヤダ、ビックリシタナモーなど枚挙に暇がないが、同氏に重賞初制覇をもたらしたのがこのマリージョーイ。同馬の調教師、田中良平師の子息が結婚したので、マリッジとジョイ(喜び)を組み合わせて命名したというから結構マトモである(失礼!)。
さらに金鯱賞での騎手は岩元市三。2年後にバンブーアトラスを駆り華のダービージョッキーとなり調教師に転じてもテイエムオペラオーを最強馬に育てた。G1・7勝、総獲得賞金は当時世界最高の18億円超の栄光を手にしたのである。
福永洋一の子息、祐一も父が成し遂げられなかったダービー制覇をワグネリアンで果たして去年鞭を置き、父の最終騎乗と同日の3月4日に引退式を行い調教師に転身した。競馬ファン諸氏も、さまざまな因縁に彩られた馬としてマリージョーイを記憶されたい。
この辺で「東大馬券王の大よそー」に移ろう。
去年の菊花賞馬、ドゥレッツァが登録してきた。新馬戦3着の後5連勝中で菊花賞(G1)のレースぶりから見ると「とんでもない化け物」かもしれない一方、菊花賞3着だった皐月賞馬・ソールオリエンスのその後の成績を見ると「世代的に化けの皮がはがれる」かも知れない。
ズバリ、3連単でドゥレッツァを2(3)着に置き、1着は昨年覇者プログノーシス。もちろん本物の化け物も想定して3連複2頭軸も押さえに。ヒモ穴も中京コース6戦5勝とマリージョーイっぽいヤマニンサルバム、芝では10戦中8回3着以内のエアサージュに絞ってよい。
尾張よければ全てよし!まだ始まったばかりだが、金のシャチホコにあやかって金満になろうではないか。