ドゥレッツァVSシュトルーヴェ「遅れてきた大物」対決再び!? 明暗が大きく分かれた昨夏から7か月、リベンジの時は来るのか
鮫島克駿騎手「馬の力強さに感動した」
23日、中山競馬場で行われた日経賞(G2)は、4番人気のシュトルーヴェ(セ5歳、美浦・堀宣行厩舎)が勝利。5歳ながらこの11戦目が重賞初挑戦という遅咲きの大器が、実績馬を破って大きな勲章を手にした。
10頭立て、芝2500mのレース。横山典弘騎手のマテンロウレオが巧みなペースでレースを支配すると、最後の直線でも粘りに粘る。そんな中、シュトルーヴェは4コーナーでも3列目の苦しい位置だったが、最後の直線では1頭1頭ねじ伏せるように馬群の中を鋭伸。ゴール前は6着アドマイヤハレーまでが0.4秒差にひしめく接戦となったが、力強く抜け出した。
「乗っていて楽しいレースでしたし、馬の力強さに感動したレースでした」
レース後の勝利騎手インタビューで、鞍上の鮫島克駿騎手から最大限の賛辞を送られたシュトルーヴェは、これで11戦5勝。特に目立った成績ではないが、2200m以上では8戦4勝2着3回と抜群の安定感を誇っている。鮫島駿騎手は「今後、どの路線に進むかわからない」と話したが、優先出走権を得た天皇賞・春(G1)は本命不在の混戦が予想されている。もし駒を進めるようなら当然、面白い存在になるはずだ。
昨年8月の日本海S(3勝クラス)は、シュトルーヴェとその陣営にとって苦い記憶が残っている。
ドゥレッツァVSシュトルーヴェ「遅れてきた大物」対決再び!?
課題のスタートでダッシュがつかずに後方からになったものの、シュトルーヴェの4コーナーを回る手応えは決して悪くないように見えた。鞍上の内田博幸騎手が最後の直線へ向けて進路を意識し始めた際、すぐ内から勢いよく伸びてくる馬の存在に驚き、一瞬だけ後ろを振り返っている。
単勝2.1倍に推された1番人気ドゥレッツァだ。
この時、内田騎手にはドゥレッツァについて行くように内を突く選択肢もあったはずだ。だが、それでこの馬に勝つのは難しい。咄嗟に外への進路を選んだが、これがモロに裏目に出た。ドゥレッツァが内で馬群を割った影響で、弾かれるようにシルバーエースが外へ。結果的に、これがシュトルーヴェの進路を塞ぐ格好になった。
ラフなプレーではなかったし、競馬では決して珍しいアクシデントではなかった。だが、不完全燃焼のまま敗れたシュトルーヴェは、今年2月まで長期休養を強いられることに。戻ってきた際は、去勢されてセン馬になっていた。
一方のドゥレッツァは、この勝利で菊花賞(G1)出走を確固たるものにすると、本番ではダービー馬タスティエーラに3馬身半差をつける圧勝。遅れてきた大物が5連勝でG1馬に上り詰めた。
「レースセンスの良さ、乗っていても乗りやすく、何も癖がないのがいいところ」
両者の明暗が分かれた日本海Sから約7か月。日経賞の勝利騎手インタビューで鮫島駿騎手が挙げたシュトルーヴェの長所は、そのまま類稀な長距離適性を示唆している。来月開催される天皇賞・春(G1)で、再びシュトルーヴェとドゥレッツァの運命が交わるかもしれない。