【桜花賞】デアリングタクトVSレシステンシア思わせるデッドヒート、敗れた2歳女王の次なる選択肢
仁川に咲いた満開の桜に見守られた今年の桜花賞(G1)は、昨年の阪神ジュベナイルF(G1)以来の直接対決となったアスコリピチェーノとステレンボッシュによるワンツーフィニッシュで決着。実力上位の2頭が、トライアルレースで名を上げた刺客たちを一蹴して格の違いを見せつけた。
阪神JFと異なったのは両馬の着順だ。今回はアスコリピチェーノをステレンボッシュが逆転。いずれも最後の直線でスムーズな進路を取れた方が制している。どちらも阪神JFから直行するローテーションは同じ。1度目の対決はアスコチピチェーノの北村宏司騎手が上手く乗り、2度目の対決はステレンボッシュのJ.モレイラ騎手が好騎乗でパートナーを勝利へ導いた。
オークスでステレンボッシュとアスコリピチェーノの対決はあるか
しかし、桜花賞の勝利でオークス(G1)の1番人気がほぼ確約されたといっていいライバルに対し、アスコリピチェーノ陣営としては、何としてでも桜花賞馬の称号を手に入れたかっただろう。
というのも距離延長を苦にしないステレンボッシュと違い、ダイワメジャー産駒のアスコリピチェーノにとって桜花賞の1600mから800m延びる2400mのオークスは、歓迎できないためである。
近年のサンプルとしては2020年の桜花賞が近いイメージ。この年は2歳女王レシステンシアを破ったデアリングタクトが、オークスと秋華賞(G1)も制して無敗の牝馬三冠に輝いた。2着に敗れた2歳女王レシステンシアはオークスに向かわず、NHKマイルC(G1)を選択して2着。その後も短距離路線を歩んだ。
本馬もまたダイワメジャー産駒だったことを考えれば、桜花賞で2着に敗れた2歳女王という意味ではアスコリピチェーノも同様。まだ次走の発表はされていないものの、NHKマイルCに向かう可能性が高いかもしれない。
樫の女王を目指すには父の血を克服する必要も
まだ距離適性が明確にならない3歳春という時期だけに、オークスに出てくる可能性もゼロではないだろうが、過去の歴史を振り返ってみても好材料は見当たらない。
実際、ダイワメジャー産駒の重賞成績は、1600mを超える距離では芝1800mでカレンブラックヒルが2勝を挙げたのみで1800mを超えると全敗。牝馬よりスタミナに優る牡馬を含めた成績なのだから苦戦を免れないだろう。
また、NHKマイルCに出走した場合は、同じダイワメジャー産駒ボンドガールと対決が実現するのは興味深い。本馬は抽選を突破できずに出走したニュージーランドT(G2)でエコロブルームの2着に敗れた。
父が晩年に送り出した素質馬2頭だけに、今後の短距離路線を引っ張っていく存在として期待したい。