【皐月賞】戸崎圭太「康太が後押し」ジャスティンミラノ無敗戴冠!「この馬と共にダービー勝って、いい景色を」5年前の“忘れ物”回収へ最高のスタート
戸崎圭太「もう1人の殊勲の立役者」へ捧げる会心の騎乗
14日、中山競馬場で行われた牡馬クラシック第1弾・皐月賞(G1、芝2000m)は、2番人気のジャスティンミラノ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が勝利。負けなしのデビュー3連勝で世代の頂点に君臨した。
「ありがとうございます!」
レース後、会心の騎乗で見事ジャスティンミラノをG1馬に導いた戸崎圭太騎手だったが、中山競馬場を彩った桜のような笑顔満開というわけではなかった。
「この馬に関して藤岡康太ジョッキーが2週前、1週前と攻め馬つけてくれて、僕も事細かく状態を教えてもらった。この差(クビ差)というのは、康太が後押ししてくれたんじゃないかと、つくづく感じています」
レース後、勝利騎手インタビューに応じた戸崎圭太騎手がそう語った通り、ジャスティンミラノは日頃から、先日亡くなった藤岡康太さんが調教をつけていた。「レース前から康太の思いも感じて乗せていただいた。勝ったことで康太も喜んでくれているんじゃないか」と、もう1人の殊勲の立役者を称えた。
発走直前でダノンデサイルが競走除外となり17頭立てで行われた今年の皐月賞は、メイショウタバルが1000m通過57.5秒というハイペースを刻む激流になった。最後の直線入り口で力尽きたメイショウタバルは結局最下位。替わって先頭に躍り出たジャンタルマンタルが粘りに粘ったが、最後はジャスティンミラノとコスモキュランダに交わされた。
「藤岡康太さんが亡くなったショックが癒えぬまま行われた今年の皐月賞、競馬場に設けられた献花台には、たくさんのファンが訪れていましたし、兄の藤岡佑介騎手を始め各関係者にも当然それぞれ思うところがあると思います。
そんな中で明暗が分かれたのが、康太さんが日頃から調教をつけていたジャスティンミラノと、康太さんと同期の浜中俊騎手が騎乗したメイショウタバルでした。
浜中騎手が積極果敢な“勝負逃げ”を見せましたが、馬も人も気持ちが入り過ぎていたのか1000m通過57.5秒は明らかにオーバーペース。一方で戸崎騎手は『(ペースが)流れていると感じたが、ジャスティンミラノも自分のリズムで走れていた』と冷静さを保っていました」(競馬記者)
5年前の“忘れ物”回収へ最高のスタート
「強い馬と巡り会えて心から感謝しています」
レース後、そうジャスティンミラノとの出会いに感謝した戸崎騎手は2018年のエポカドーロ以来、6年ぶり2度目の皐月賞制覇になる。
続く日本ダービー(G1)ではゴール前で一度は抜け出したものの、ワグネリアンの乾坤一擲の末脚に屈して2着。鞍上の福永祐一騎手(現調教師)は「福永家の悲願」と言われたダービー初制覇に涙するなど、競馬史に残る名シーンとなった。
この時は名脇役を演じた戸崎騎手だったが、その翌年の日本ダービーはダノンキングリーでまたも2着。今度は2番手から抜け出したロジャーバローズと浜中騎手にまんまと粘り切られてしまった。
この敗戦には『競馬ラボ』の人気インタビュー企画『週刊!戸崎圭太』で「今年は俺だったのになぁ」と珍しく感情を露わにしていた戸崎騎手。あれから5年、奇しくもジャスティンミラノで勝った皐月賞でも浜中騎手が大胆な先行策を見せたが、今度はしっかりと捕まえた。
前走の共同通信杯(G3)を勝利した際は、日本ダービー3勝を誇る友道調教師から「調教の動きはマカヒキ、ワグネリアン、ドウデュースと現時点で遜色ない」と、自身が手掛けたダービー馬3頭を引き合いに出すほど評価されていたジャスティンミラノだ。
「僕自身、2着2回と惜しい競馬が続いている。この馬と共にダービーを勝って、いい景色を見たい」
世代最強の相棒と、戸崎騎手が5年越しの「忘れ物」を獲りに行く。