ナミュール、マスクトディーヴァは大丈夫?高速馬場の「カラクリ」に要注意…歴代最高「2070万馬券」の大波乱はなぜ起きた【ヴィクトリアマイル】

武豊騎手とコンビを組むナミュール 撮影:Ruriko.I

 東京競馬場で6月2日の安田記念(G1)まで続く怒涛の5週連続G1開催。今週末は古馬牝馬の最強マイラーを決めるヴィクトリアマイル(G1)が行われる。

 下馬評では武豊騎手のナミュール、J.モレイラ騎手のマスクトディーヴァの2頭が人気を二分しそうな雰囲気だ。3番手以下の馬が少し離された勢力図は、アスコリピチェーノとジャンタルマンタルが二強を構成したNHKマイルC(G1)と似ているかもしれない。

 ジャンタルマンタルとコンビを組んだ川田将雅騎手の好騎乗が光った3歳マイル王決定戦だが、勝ちタイムは良馬場で1分32秒4。同じく芝のマイル戦である9R分倍河原S(3勝クラス)が1分32秒5だったことを思えば、G1レースとしてはそこまで速い決着でもなかったか。

好位につけたジャンタルマンタルとアスコリピチェーノが一騎打ち

 最後の直線で進路を失ったC.ルメール騎手のアスコリピチェーノが内へ切れ込み、他馬に迷惑を掛けたこともあり、後味の悪さが残る結末だったことは間違いないが、勝ったジャンタルマンタルも2着に敗れたアスコリピチェーノも最後の直線で3番手を並走していた馬。前後半のラップがほぼイーブンだったため、実力上位の2頭が好位からそのまま抜け出した。

 その一方、勝負どころで馬群が密集していたように、ペースそのものはそれほど速くなかったように映った。各馬が上がり3ハロンでマークしたタイムも大きな差はなく、道中のポジション取りも着順に直結した結末だった。こういった現在の馬場状態を踏まえた上でヴィクトリアマイルの顔触れを見渡すと、末脚勝負のタイプより、好位で抜け出すタイプが魅力的に感じる。

 というのも、Bコースへと替わる今週は、これまで以上に前残りの傾向が強くなるからである。

 ヴィクトリアマイルといえば、JRA・G1歴代最高配当となる3連単2070万馬券の大波乱となった2015年が有名だ。この年は5番人気ストレイトガールが優勝し、2着に12番人気ケイアイエレガント、3着に18番人気ミナレットが入線。単勝オッズで一桁台に支持された上位人気馬3頭が凡走し、とんでもない結末を迎えた。

 そこで思い出しておきたいのは、上位4着以内に好走した馬が前残りする結果に終わっていたことだ。

 レース展開としても逃げたミナレットが3着、2番手のケイアイエレガントが2着、5番手から抜け出したストレイトガールが優勝し、4番手レッドリヴェールが4着。勝ちタイムの1分31秒9こそ速い時計に映るのだが、18頭中の12頭が32秒~33秒台の末脚を使っていたのだから、余力を残して最後の直線を迎えていたことが伝わる。

「翌年に連覇を決めたストレイトガールの力が抜けていたことは間違いないですが、決め手となったのは距離適性のような気がします。1番人気ヌーヴォレコルトや2番人気ディアデラマドレは中距離重賞で結果を残していた馬でした。そういえばカワカミプリンセスも2007年と09年の2度出走しましたが、どちらも人気で凡走していましたね。

これはあくまで仮説に過ぎませんが、高速馬場になると距離適性が短距離寄りの馬が好走しやすくなる傾向が強いように感じます。そういう意味では、純粋なマイラーや中距離馬より、1200mや1400mでも好走可能なスピードを持つタイプに向くのかもしれません。今年の出走メンバーならウンブライルが面白そうですよ」(競馬記者)

川田将雅騎手とウンブライルに注意? 撮影:Ruriko.I

 仮にそういった視点で考えた場合、マイル重賞勝ちがあるとはいえ、ローズS(G2)でレコード勝ちしたマスクトディーヴァ、オークス(G1)や秋華賞(G1)で好走していたナミュールも過信は禁物。デビューからの2戦を芝1400mで連勝したウンブライルの鞍上が絶好調の川田騎手というのも少なからず怖さがある。

 はたして今年のヴィクトリアマイルはどのようなドラマが待っているのか。期待した馬が後方で末脚不発という事態を避けるためにも、行ったままの前残りには注意しておきたい。

GJ 編集部

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