弱小世代の風評に拍車!? 日本ダービー(G1)3着馬ハーツコンチェルトが3勝クラスで完敗…「明らかに力上位」で1番人気もスローペースに泣く
昨年の日本ダービー3着馬が待望の戦線復帰も…
11日、東京競馬場で行われた六社S(3勝クラス)は、3番人気のマキシ(牡4歳、栗東・辻野泰之厩舎)が勝利。前走に続く連勝を飾ってオープン入りを果たした。昨年の京都新聞杯(G2)でタイム差なしの4着に敗れてクラシック出走を果たせなかったが、ここに来て本格化を思わせる力強い走りだった。
その一方で、そんな勝ち馬よりも大きな注目を集めたのが、1番人気だったハーツコンチェルト(牡4歳、美浦・武井亮厩舎)だ。
“あの”ハーツコンチェルトが自己条件を走っていることに驚いたファンもいるかもしれない。言わずと知れた日本ダービー(G1)3着馬であり、東京スポーツ杯2歳S(G2)や神戸新聞杯(G2)で1番人気に推されるなど、昨年のクラシックを盛り上げた実力馬だ。
しかし、もともと勝ち味に遅い面もあって、収得賞金の加算は昨年4月の青葉賞(G2)2着が最後。今年は2月にサウジアラビアに遠征するなどの意欲を見せていたが結果が出ず。秋の大レースに向けて賞金を加算するためにも、ここは負けられない一戦だった。
「明らかに力上位」で1番人気もスローペースに泣く
レースが10頭立てに落ち着いたこともあって、ハーツコンチェルトは単勝2.0倍の抜けた1番人気に推された。しかし、最後の直線で外から追い上げたものの4着が精一杯。勝ったマキシからは0.3秒離される完敗だった。
「うーん……。ちょっとペースが落ち着きすぎましたね。鞍上のJ.モレイラ騎手も『もう少しペースが流れていれば勝負になっていた』と話していましたが、今の東京の馬場は絶好ですし、ああなるとそう簡単に前が止まりません。ハーツコンチェルト自身は上がり3ハロン33.2秒と脚は使っているのですが、最後まで前を走っていた馬たちを捕まえることができませんでした。
仕切り直しの一戦とはいえ、4月の半ばから丹念に乗りこんでいましたし、追い切りの動きも完調を思わせるもの。(元主戦の)松山弘平騎手やモレイラ騎手の進言で、今回はブリンカーを付けてのレースの上、舞台は青葉賞や日本ダービーと同じ東京・芝2400m。武井調教師も『3勝クラスなら明らかに力上位』と必勝態勢で挑んだレースだったのですが……」(競馬記者)
今春の大阪杯(G1)をベラジオオペラが制し、改めて存在感を示した昨年の牡馬クラシック組。しかし、実は昨年の日本ダービーで4着だった本馬に先着した3着ハーツコンチェルトだけでなく、2着のソールオリエンス、1着のタスティエーラらは、もう1年近く勝ち星から遠ざかっている。
「今日(11日)、今週末の復帰が期待されていたファントムシーフの右前浅屈腱炎が発表されるなど、昨年の牡馬クラシックを賑わせた馬たちの苦戦・苦難が続いています。
不振の皐月賞馬ソールオリエンスやダービー馬タスティエーラだけでなく、先日の天皇賞・春(G1)では菊花賞馬のドゥレッツァも熱中症の影響で大敗。レース後に右第1指骨の剥離骨折が判明するなど、まさにベラジオオペラの孤軍奮闘のような状況です。それだけにハーツコンチェルトの復帰は同世代にとっても明るいニュースだったのですが、厳しい結果になってしまいました」(同)
昨年、イクイノックスが世界の頂点に立ち、ドウデュースが有馬記念(G1)を勝利するなど、本来4歳牡馬はその年の競馬界の中心にいるべき期待が掛けられている。
しかし、実は昨年の牡馬クラシック三冠で馬券(3着以内)になった馬たちは、最後の菊花賞が終わってからここまで全敗……。掲示板(5着以内)まで広げても、ベラジオオペラ以外は勝利から遠ざかっている。
「今回は4着でしたが、着順の印象より中身のある競馬が出来ました」
レース後、そうハーツコンチェルトに期待を寄せたモレイラ騎手。ただ、ペースや展開に恵まれない面はあったにせよ、それでも世代をリードした実力馬として、負けてはいけないレースだったのではないだろうか。
果たして、ここから“弱小世代”の汚名返上なるか。ベラジオオペラ筆頭に奮起を期待したいところだが、いよいよ希望の光が小さくなってきた。