JRA「3歳賞金王」はジャンタルマンタル、ジャスティンミラノにあらず!? 日本不在の“裏”賞金王の存在と、新種牡馬サートゥルナーリアが1強にならない異変

新種牡馬サートゥルナーリアの現役時代

2024年新種牡馬の中心はサートゥルナーリアだが…

今週末のオークス(G1)、そして来週の日本ダービー(G1)を越えれば、早くも来年のクラシックを目指す2歳戦が開幕する。この時期に毎年注目を集めるのが、産駒たちが競馬場に初のお目見えになる新種牡馬たちだ。

 今年の看板は、サートゥルナーリアだ。デビュー4連勝でホープフルS(G1)、皐月賞(G1)を制覇した実績や仕上がりの早さも然ることながら、この馬の最大のセールスポイントは何と言っても母シーザリオの存在だろう。

 日米のオークスを制した歴史的名牝のDNAは、産駒にもしっかりと受け継がれた。繁殖牝馬としても日本競馬界屈指の成功を収めただけでなく、産駒のエピファネイアやリオンディーズが種牡馬としても活躍。新種牡馬サートゥルナーリアが大きな注目を集めるのは、もはや必然と言って良いだろう。

 また、来年はコントレイル、2027年にはイクイノックスという超大物種牡馬の産駒デビューが控えているが、今年はこれといった大物が少ないこともサートゥルナーリアの追い風となったはずだ。ちなみに初年度の種付料は600万円で、種付数は205頭。今や超一流の種牡馬となったキタサンブラックでさえ500万円で130頭だったことを踏まえると、この良血馬の期待の高さが伺える。

 これだけ条件が揃った以上、従来であれば今年の新種牡馬はサートゥルナーリアの1強となってもおかしくない。しかし、実はそんなサートゥルナーリアよりも種付数を集めた新種牡馬が2頭もいる。

 ルヴァンスレーヴ(223頭)とゴールドドリーム(212頭)だ。

年々加速するダート系種牡馬の人気高騰

新種牡馬として異例の人気を誇るゴールドドリーム

 この2頭の共通点は、現役時代にJRA賞の最優秀ダートホースを受賞していること。つまりダートで大活躍した馬であり、産駒も当然ダートでの活躍が期待されている。無論、600万円のサートゥルナーリアよりも人気だったのは150万円、100万円とリーズナブルな種付料だったことも大きい。

 だが、これまでいわゆるダート系の種牡馬は、芝で活躍した馬と比較して安い金額に設定せざるを得なかった。何故なら、クラシックなど高額賞金レースが目白押しの芝とは異なり、ダートは儲からないという認識があったからだ。

 実際にJRAで開催される2歳ダート重賞はゼロ。オープンまで広げてもカトレアSがあるだけだ。3歳4月のユニコーンS(G3)が最初の世代別重賞である。

 だが、その一方で近年はダートが主流の地方交流重賞が充実。特に今年はダート三冠路線を始めとした“ダート革命”が行われ、各レースの大幅な賞金アップが行われている。

 そして何よりも生産者にとって魅力的なのが、超高額賞金を誇る海外のダート重賞の存在だろう。実際に今春にはドバイワールドC(G1)で2着したウシュバテソーロが、イクイノックスが持つ歴代賞金記録を上回った。

 芝だけでなく、ダートでも世界水準の実力に達した昨今、もうダートは儲からないという時代は終わった。それこそがダート種牡馬であるルヴァンスレーヴやゴールドドリームが異例の人気を集めている理由に他ならない。

海外の超高額賞金レースと、進み続ける円安

芝でもダートでも活躍したパンサラッサ

「この世代が種付けを行ったのは2021年。個人的には、やはり前年に1着賞金1000万ドル(約11億円・当時)を誇るサウジCが誕生したことが大きいと思います。

また、昨年はパンサラッサがこのレースを制し、ウシュバテソーロがドバイワールドCを制覇。芝のジャパンC(G1)や凱旋門賞(G1)を超える超高額賞金を日本馬が手にしたこと、そして円安が進み、ドルを手にすることの価値がどんどん上がっている時代背景を鑑みても、今後はますますダート系種牡馬の人気が高まっていくことが予想されます」(競馬記者)

 実際に記者曰く、現在の3歳馬の“賞金王”は、昨年の朝日杯フューチュリティSに加えて、今月のNHKマイルCでG1・2勝目を飾って皐月賞馬ジャスティンミラノを抜いたジャンタルマンタル。だが“裏”の賞金王はサウジダービー(G3)、UAEダービー(G2)、そしてケンタッキーダービー(G1)と世界を渡り歩いたフォーエバーヤングだという。

 ちなみに今年の新種牡馬の種付数は、先述したルヴァンスレーヴ、ゴールドドリーム、サートゥルナーリアが1、2、3位だが、4位ミスターメロディや5位モズアスコットは現役時代に芝とダートの両方で活躍した馬。6位ナダル、7位フォーウィールドライブは海外からの輸入だが、共にダートでの活躍が期待される種牡馬だ。

 近年、急激に加速している高額賞金ダートレースの充実。近い将来、日本の種付料ランキングでも当然のようにダート系種牡馬が名を連ねる未来がくるはずだ。

GJ 編集部

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