【裏話】華やかな舞台の裏で「競馬界の暗部」が見え隠れ!? 職務放棄しながら賃金を求める組合員も…ダービーデー直前の混乱にファン困惑
昨年は高松宮記念(G1)前の3月18日に3労組がストライキを実行。結果的に交渉決裂となり現場は混乱したものの、競馬の開催は通常通りだった。
いまだ根本的な解決に至っていないこの問題は燻ぶったままの状態が続いており、今年は日本ダービー(G1)前日の25日にストライキが実行された。
当然ながらすんなりとは行かず、3労組のうち関西労は妥結したものの、関東労と美駒労の交渉は長引いた。1年で最も華やかなレースであるダービーの開催に重なるストライキについては、SNSなどで競馬ファンから不満の声も出ていた。
管理馬の出走に悩む助手や厩務員の姿も…
かといって現場で働く助手や厩務員も凄く悩んでいたという。
「待遇改善は望んでいますが、直前で仕事を放り投げるのは難しいという話でした。ですが組合からは『もしストを破ったら除名する』と通達されていたようで、それぞれ難しい判断を迫られていました。自分の担当馬が競馬ということでスト破りをして馬を引く人もいましたし、除名を恐れて渋々部屋から出なかった人もいました。
他にも美浦トレセンの通用門を塞いで馬を運ばせないという話も出ていましたが、こちらについてはJRAも業務妨害で訴えると強気な姿勢。調教師の中には臨時で人を雇う人もいましたが、雇えなかった人は自ら馬を引いたり、調教師同士で連携しあったりして、何とか開催に支障が出ないよう努めていましたよ」(競馬記者)
また、昨年もそうだったのだが、平均的に稼ぎのある関西労はポーズだけのところがあり、関東との温度差もあった。一枚岩でないことは調教師やJRAにも見透かされているため、現場では今年も何とかなるだろうという雰囲気も蔓延していたらしい。
29日に関東の2労組も妥結したとのことだが、おそらく昨年と同様に問題になったのは進上金の話だろうといわれている。進上金とは『預託馬が競走に出走して賞金を取得した時に、馬主が管理調教師や騎乗騎手等、厩舎関係者に支払う成功報酬的な金員』のことである。
「担当者でありながらストのために馬を連れて行かず、レース前の諸々の世話を放棄しながら『お金だけはよこせ』という助手や厩務員もいたみたいですね。直前まで担当馬の世話をしたとはいえ、レース前の準備やレース後のケアはしてないのだから、実質働いていないと見なされてもやむを得なかったでしょう。
ただその点は各々の判断に任せられるそうです。ひとまずストは取り下げられたので一安心といえそうですが、華やかなダービーデーを前に競馬界の暗部が見え隠れするストライキといったところかもしれません」(同)
スト権の行使は労組の権利であり認められるべきものだが、雇用側との溝は深く解決の糸口は見えていない。何とか開催は成立したものの、来春は双方が納得する形で競馬が開催されることを願いたい。