北村友一「完全復活」の序章!「チーム・クロノジェネシス」が手掛けるキタサンブラック産駒がチェルヴィニア弟を完封で2歳“レコード”V
「チーム・クロノジェネシス」がハイレベル新馬を快勝!
9日、東京競馬場で行われた2歳新馬は、3番人気のクロワデュノール(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が勝利。母に英オークス(G1)2着のライジングクロスがいる良血馬がデビュー戦を快勝した。
6月から開幕した2歳新馬で初の東京・芝1800m戦ということもあって、期待の素質馬が集結。1番人気は今年のオークス(G1)を勝ったチェルヴィニアの半弟アルレッキーノ。2番人気は調教で抜群の動きを見せていたブラックセイバー。キタサンブラック産駒のクロワデュノールは3番人気だった。
レースは、アルレッキーノとクロワデュノールが頭一つ抜けた好スタートで幕を開けた。内からブラックセイバーらが抵抗するも結局、ハナを切ったのはアルレッキーノとC.ルメール騎手。クロワデュノールと北村友一騎手はこれを追走するような形の2番手に控えた。
1000mを61.3秒で通過し、最後の直線を迎えると前を走っていた2頭のマッチレースが展開。馬なりのまま後続を引き離すと、ルメール騎手と北村友騎手のアクションが徐々に大きくなる。同じサンデーレーシングの勝負服をまとった2人のスパートはほぼ同時だったが、追い出してからの手応えは歴然。最後はクロワデュノールがアルレッキーノに2馬身半差をつけてゴールした。
「素質馬同士が激突する見応えのあるレースでしたね。最後はクロワデュノールとアルレッキーノの一騎打ちになりましたが、スタート直後の2ハロン目が11.4秒とややハナ争いが激しくなった中で1、2番手を走っていた馬。普通の馬なら終盤で失速してもおかしくないのですが、逆に後続を突き放す走りを見せただけに素質はかなり高そうです。
また勝ち時計の1:46.7は、6月の東京・芝1800mの2歳新馬戦で歴代最速。この開催の東京・芝1800mといえば、昨年ここを勝ったダノンエアズロックは今年の日本ダービー(G1)まで駒を進めています。他にもダービーで3着だったシンエンペラーや昨年のダービー馬タスティエーラ、一昨年の皐月賞馬ジオグリフなどが東京・芝1800mでデビューしているだけに今後の楽しみが膨らみますね」(競馬記者)
1年以上の戦線離脱を乗り越え、完全復活を目指す北村友一騎手
「前の馬(逃げたアルレッキーノ)がしっかり走れそうだったので、それを目標に4コーナーから動かして早めのレースをしました」
レース後、そう振り返ったのはクロワデュノールの鞍上・北村友騎手だ。かつてクロノジェネシスとのコンビで一世を風靡し、2018年には90勝を挙げてリーディング6位に食い込むなど若手の代表的な存在だったが、2021年に大きな落馬事故に巻き込まれた。
診断の結果、背骨に8本の骨折が見られる重傷。2022年6月11日の復帰までに1年以上の時を擁した。その後、なかなか結果が出ない日々が続いていたが、昨年は40勝を挙げるなど、じょじょにかつての姿を取り戻しつつある。
「昨年の夏の“裏函”(競馬開催はないが、近くの札幌が開催している関係で多くの馬が滞在している)で北村友騎手を見かけたときは驚きました。
大半のジョッキーはレースのある札幌にいて、ここに残ったジョッキーは滞在する各馬の調教で大忙しになることもあって、基本的には乗鞍を求める若手が中心なんですが、実績のある北村友のようなジョッキーが精力的に追い切りをこなしている姿が印象的でしたね。おそらくですが、馬にたくさん乗ることで、少しでも早く感覚を取り戻そうとしていたのだと思います」(別の記者)
「初戦を無事に勝ててよかったです」
北村友騎手×斉藤厩舎×サンデーレーシングといえば、かつての盟友クロノジェネシスとまったく同じコンビ。破格の時計でデビュー戦を制したクロワデュノールが、あの時のような旋風を巻き起こすか。来年のクラシックへ、また1頭有力な存在が台頭した。