武豊「器用さが全くない」、川田将雅「時間が必要なタイプ」辛口評価は期待の裏返し!? 単勝1.3倍のスマートワイスがオープン入りに王手
スマートレイアーの仔スマートワイスが快勝
牝馬限定のハンデ重賞、マーメイドS(G3)が行われた16日の京都競馬場。メインの2つ前の9Rは、皆生特別(2勝クラス、芝1600m)が8頭によって争われた。
勝ったのは、メンバー唯一の3歳馬スマートワイス(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)。初コンビの川田将雅騎手を背に単勝オッズ1.3倍の圧倒的1番人気に見事応えた。
スペクトログラムがレース前に出走を取り消し、8頭立てで行われた一戦。フルメタルボディーがハナを切り、前後半4ハロン47秒0-46秒0の平均ペースをつくりだした。好スタートを決めたスマートワイスは、ちょうど中団の4~5番手を追走。ただ鞍上の川田騎手は終始おっつけ気味で、手応え自体は決して良くなかった。
フルメタルボディーが逃げ込み態勢に入る中、スマートワイスは5番手で最後の直線を向くと、残り350mあたりで、川田騎手の右ムチが1発、2発と飛ぶ。残り200mのハロン棒を通過し、先行集団と後方集団の差が一気に縮まり、出走馬8頭中7頭が横一線に広がる大激戦となった。
最後は外から鋭く伸びたスイープアワーズとスマートワイスの壮絶な叩き合い。これをゴール前、ハナ差で制したのがスマートワイスの方。これで5月のメルボルンT(3歳1勝クラス)に続く2連勝を飾り、デビューからの成績を5戦3勝として、オープン入りに王手をかけた。
「ゴール前は牝馬のアロマデローサも加わって上位人気3頭による追い比べになりました。スイープアワーズが一瞬前に出ていたようにも見えましたが、最後はスマートワイスに軍配が上がりました。勝負根性は母に似たのかもしれませんね」(競馬記者)
辛口評価は期待の裏返し!?
スマートワイスの母といえば、2010年代に武豊騎手とのコンビで息の長い活躍を見せ、重賞を4勝したスマートレイアー。同じく芦毛に生まれた息子の方も武騎手がデビューからずっと手綱を取っていたが、今回は函館滞在のため川田騎手に乗り替わっていた。
川田騎手はレース後、「まだまだ体的に動けないので、時間が必要なタイプだと思います」と、スマートワイスにやや辛口コメント。ただ、逆にいえば、そんな未完成の状態にもかかわらず、初の古馬相手に勝ち切った点は高く評価しても良さそうだ。
また、スマートワイスに辛口評価を与えていたのは武騎手も同じ。前走のメルボルンT後には「器用さが全くない」と評しており、心身ともにこれからの馬。武騎手は「能力はあります」とも付け加えており、伸びシロという意味では秋以降、古馬になってからが非常に楽しみな存在である。
G1・3勝の名牝スイープトウショウを母に持つスイープアワーズとの良血馬対決を辛くも制したスマートワイス。着差はハナ差でもこの時期の3歳馬にとっての1勝は大きい。完成形となるのは半年後か、1年後か、それともさらにその後か――。いずれにしても将来は重賞戦線を賑わしてくれそうな1頭になるかもしれない。