ゴールドシップ、カレンチャンらの母が一堂に集結! 後にJRA合計G1・13勝、重賞33勝を生み出した伝説のエリザベス女王杯(G1)
10日に京都競馬場で行なわれるエリザベス女王杯(G1)は1996年に古馬に解放されてから、毎年の牝馬No.1を決めるビッグタイトルとして親しまれてきた。
今年はホープフルS(G1)を制したレガレイラが出走するものの、G1馬は一昨年の秋華賞馬スタニングローズと合わせて2頭だけ。今年の二冠馬チェルヴィニア、三冠牝馬リバティアイランド、昨年の覇者ブレイディヴェーグなどが他のレースを選択したこともあって、例年よりもやや寂しいメンバーとなってしまった。
だが、仮に競走成績で後れを取っても、現役引退後に繫殖牝馬として大いに名を馳せることがあるのが競馬の面白いところだ。
特にエリザベス女王杯は、例えばアーモンドアイの母フサイチパンドラが2006年の覇者であり、イクイノックスの母シャトーブランシュも2015年に出走していたように、古くから競走馬としての「名牝」だけでなく、繁殖としての「名牝」も数多く送り出してきた。
代表的なのが、2001年に行われたエリザベス女王杯である。
勝ったのは武豊騎手のトゥザヴィクトリー。ドバイワールドカップ(G1)2着からのエリザベス女王杯制覇という、スケールの大きな女傑だった。
2着が3歳牝馬のローズバド、3着が前年の秋華賞馬ティコティコタック、4着がオークス馬のレディパステル、5着が2冠馬のテイエムオーシャンと、当時の豪華メンバーが0.1秒差の大接戦を演じた。以下、カリスマサンオペラ、タフネススター、メジロサンドラ、マルカキャンディ、ポイントフラッグ、ヤマカツスズラン、スリーローマン、スプリングチケット、タイキポーラ、マイニングレディと続いている。
その上で、下記をご覧いただきたい。これらはこの年のエリザベス女王杯に出走した馬たちの「主な繁殖記録」である。
・1着 トゥザヴィクトリー
→トゥザグローリー 京都記念(G2)、日経賞(G2)、日経新春杯(G2)、中日新聞杯(G3)、鳴尾記念(G3)
→トゥザワールド 弥生賞(G2)
→トーセンビクトリー 中山牝馬S(G3)
・2着 ローズバド
→ローズキングダム 朝日杯FS(G1)、ジャパンC(G1)、神戸新聞杯(G2)、京都大賞典(G2)、東京スポーツ杯2歳S(G3)
・7着 タフネススター
→カゼノコ ジャパンダートダービー(G1)
・9着 マルカキャンディ
→ベルシャザール ジャパンカップダート(G1)、武蔵野S(G3)
・10着 ポイントフラッグ
→ゴールドシップ 皐月賞(G1)、菊花賞(G1)、有馬記念(G1)、宝塚記念(G1)連覇、天皇賞・春(G1)、神戸新聞杯(G2)、阪神大賞典(G2)3連覇、共同通信杯(G3)
・12着 スリーローマン
→スリーロールス 菊花賞(G1)
・13着 スプリングチケット
→カレンチャン スプリンターズS(G1)、高松宮記念(G1)、阪神牝馬S(G2)、函館スプリントS(G3)、キーンランドC(G3)
→スプリングソング 京阪杯(G3)
実に出走した15頭中7頭が、のちに重賞勝ち馬を輩出。勝ったG1の数は驚愕の13勝、重賞なら合計33勝に上る。特にポイントフラッグはG1を6勝したゴールドシップを輩出し、現役時は届かなかった歴史的名牝の座を繁殖牝馬として手にした。
他にも4着だったレディパステルの仔ロードアクレイムが神戸新聞杯(G2)で2着。11着に敗れたヤマカツスズランの仔ヤマカツブライアンが兵庫チャンピオンシップ(G2)で2着など、重賞級の産駒を輩出している。
現役競走馬としてだけでなく、繁殖牝馬としても紛れもない「名牝」揃いだった2001年のエリザベス女王杯。後の輝かしい繁殖実績を踏まえれば、間違いなく歴史的な一戦だったといえるだろう。
やや寂しいメンバーとなってしまった今年のエリザベス女王杯だが、後に競馬ファンをアッと驚かせるような未来の名牝が潜んでいるかもしれない。