【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
勤労感謝の日である23日には、京都競馬場で京都2歳S(G3)が開催される。
今年でまだ11回と歴史の浅い分、前週の東京スポーツ杯2歳S(G2)の陰に隠れがちだが、昨年は勝ったシンエンペラーが暮れのホープフルS(G1)でも2着に好走。年々、重要性は高まっている印象だ。
今年の中心はエリキング(牡2歳、栗東・中内田充正厩舎)で間違いないだろう。
今秋、凱旋門賞(仏G1)に挑戦したシンエンペラー、ブリーダーズCクラシック(米G1)で堂々の戦いぶりを見せたフォーエバーヤング――。競馬界にすい星のごとく登場し、今や最も注目されている大物馬主の1人となった藤田晋オーナーが今年大きな期待をかけているのが、このエリキングだ。
川田将雅騎手×中内田充正厩舎という競馬界屈指にコンビが手掛けるエリキングは、6月の新馬戦を単勝1.7倍に応えて完勝すると、続く野路菊S(OP)も単勝1.4倍の人気に応えて2連勝。前評判通り、今年の2歳戦線の主役候補に躍り出た。
前走の野路菊Sは2着ジョバンニに半馬身差の勝利だったが、レース後に川田騎手が「ゲートや1コーナーで反抗する面を見せた」と課題を挙げている。「精神面が成長してくれば、体もまた成長するはず」と期待を寄せているように、まだまだ奥がありそうだ。母ヤングスターは豪州のG1馬で、近親にも活躍馬が多数という勢いのある血統。藤田オーナーとしては、昨年のシンエンペラーに続く連覇がかかる。
その野路菊Sでエリキングと半馬身差の勝負を演じたのが、ジョバンニ(牡2歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だ。
7月のデビュー戦を快勝して挑んだ前走の野路菊Sでは、お互いに好位から抜け出す形。最後はエリキングとの一騎打ちとなったが、力の差を見せつけられてしまった。
だが、「もう少し外の枠が欲しかった」と敗因を求めた松山弘平騎手が「勝ち馬には一瞬詰め寄ってくれた」と振り返っている通り、この1戦で勝負付けを済ませてしまうのは早計か。
3着ワンモアスマイルに2馬身半差をつけている通り、この馬もまた非凡な走りを見せていた。重賞の舞台でライバルにリベンジを果たすことができれば、この先の視界も大きく広がるはずだ。
ジョバンニと同じように打倒エリキングに燃えるのが、サラコスティ(牡2歳、栗東・池添学厩舎)だ。
6月のデビュー戦でエリキングと戦って2着に敗れているサラコスティ。1馬身半差の完敗だったが、レース後にC.ルメール騎手が「スタートで出遅れて、3コーナーで掛かってしまった」と悔いたように、これがこの馬の本来の走りではないはずだ。
その証拠に坂井瑠星騎手に乗り替わった8月の未勝利戦を単勝1.1倍に応えて圧勝。スピードの違いでハナに立つと、最後は2着バッケンレコードに9馬身差をつける圧巻の走りだった。
これには坂井騎手も「調教の段階から能力を感じていた」と納得の勝利。「自分のリズムで走れれば、上でも通用する馬」と、その視界はすでに大きな舞台を見据えている。まずはエリキングに借りを返しておきたい。
アスクシュタイン(牡2歳、栗東・藤原英昭厩舎)の逆襲にも期待がかかる。
デビュー戦の勝利からコスモス賞(OP)を7馬身差で圧勝し、北海道の出世街道に乗ったアスクシュタイン。しかし、2番人気で迎えた札幌2歳S(G3)では、いつも通りハナを切ったものの失速して7着。重賞の壁にぶち当たった格好だ。
だが、この時期の札幌の重馬場が堪えた上、主戦の北村友一騎手が「前回よりも速いラップを刻んだ」と振り返った通り、ややオーバーペース気味だったことも事実。この一戦だけで見限るには早いはずだ。敗戦を糧にマイペースを刻むことができれば、再び主役の座が見えてくる。
他にも、デビュー戦を勝利したクラウディアイ、テイクイットオール、スリーキングスなどもチャンス十分。ここを制して暮れのホープフルSや来年のクラシックに名乗りを挙げるのはどの馬か。