三浦皇成、ホープフルSでG1初制覇が期待されるも…相棒の「話にならない」逸走に涙した2年前の苦い記憶
28日、G1となり6年目を迎えるホープフルS(G1)が中山競馬場で行われる。この1戦には、今年度での現役引退を表明した福永祐一騎手がファントムシーフで臨み、武豊騎手はセレンディピティで前人未到のJRA・平地G1全制覇に挑む。また新進気鋭の今村聖奈騎手がスカパラダイスでG1に初挑戦するなど、話題性も高く、例年以上に注目度が上がっている。
それぞれの騎手たちが様々な思いを秘めて行われる1戦となるが、ここに人一倍強い思いを抱いているのはガストリックに騎乗する三浦皇成騎手かもしれない。初G1制覇がかかるだけではなく、2年前のランドオブリバティでの無念を晴らす意味も込められているからだ。
2020年ホープフルSで起こった「事件」
2020年、三浦騎手はランドオブリバティとコンビを結成。デビュー戦、芙蓉S(OP)と連勝し、意気揚々とホープフルSに挑戦した。
前走までの成績も考慮された結果、このコンビは2番人気に支持される。三浦騎手にとってG1に騎乗した中では最高人気。ここで三浦騎手が待望のG1初制覇を成し遂げる……、そんな栄光の瞬間が訪れることを期待していたファンも多かったはずだ。
だがそれは無惨にも打ち砕かれた。多少外を気にする素振りはあったものの、順調に進んでいたかに見えた三浦騎手を乗せたランドオブリバティだったが、3~4角のカーブで逸走してしまう。外ラチにぶつかるほど大きく膨らんでしまい、激突直前になって三浦騎手は飛び降りるように落馬。優勝候補から一転、無念の競走中止となってしまった。
レース後、ランドオブリバティを管理する鹿戸雄一調教師は、「話にならない……」「調教では見せたことはないけど、子供っぽいところが出てしまったのかな」と困惑した様子だった。だが、一番『話にならない』と言いたかったのは三浦騎手本人だろう。
あれから2年。三浦騎手のJRA・G1連敗記録は106まで伸びている。あのとき、ランドオブリバティで勝利を掴めていれば……、そんな考えが頭をよぎるときもあったかもしれないが、再び訪れたG1制覇の大チャンスがホープフルSというのは何かの縁だろうか。
三浦騎手が騎乗するガストリックは、出世レースである東京スポーツ杯2歳S(G2)を勝利するなど、その実力は誰もが認めるところ。現在、『netkeiba.com』の事前オッズで2番人気とされているが、このままならますますあの時のランドオブリバティと重なる。
人気馬で挑んだ2年前のホープフルSでの雪辱を晴らすチャンスが到来した2023年。三浦騎手のいつにも増して負けられない戦いの幕が開けようとしている。