AJCC(G2)「通算7勝」の横山典弘が魅せたマジックの数々、キングオブコージに続く連覇があるか

横山典弘騎手

 22日、中山競馬場で伝統の中距離G2戦となるAJCC(G2)が開催される。

 1月に開催される重賞ながら日経新春杯(G2)がハンデ戦なのに対し、別定戦で行われるせいかG1級の馬が出走することもあり、メンバーが揃うことも少なくない。

 今年も14頭が登録を済ませているが、近走不調ながらオークス馬のユーバーレーベンが出走を予定しているほか、昨年の菊花賞(G1)で1番人気に推されたガイアフォースなども参戦を予定しており、なかなか興味深い1戦になりそうだ。

 ところで、このAJCCだが今年で64回目を数える。過去63回も開催されていれば多くの騎手が勝利騎手として名前を刻んでいそうなもの。そんな中で実に7勝も挙げているのが横山典弘騎手だ。

 過去20回騎乗して7勝2着1回3着1回で、実に勝率35%、連対率40%、複勝率45%とすさまじい数字をマーク。これ以外でも掲示板に4回載るなど、非常に好相性だ。

 今回はこの横山典騎手の7勝を振り返って、どんな騎乗をしてきたかみてみたい。

「通算7勝」の横山典弘騎手が魅せたマジックの数々

 初勝利を挙げたのは91年の第32回。この時、横山典騎手はAJCC初騎乗だったのだがいきなり勝ち星を挙げている。勝ったのはメジロモントレー。1番人気は上がり馬のパソドラード、以下ランニングフリー、カリブソングとG2重賞の常連に上位人気を譲って4番人気だった。レースではスタートから最後方を進むものの、3コーナーから押し上げていき、直線では前にいた馬を上がり最速の脚でまとめて差し切って勝利した。

 ちなみに63回の歴史の中で唯一牝馬が勝ったのがこのメジロモントレーだった。今年、ユーバーレーベンとシャムロックヒルの2頭が牝馬で登録されているが、このどちらかが勝つと実に32年ぶりの勝利となる。

 2勝目は97年のローゼンカバリーで挙げたもの。1番人気は上がり馬のキングオブダイヤ、2番人気が前年の覇者で中山巧者のカネツクロスで、ローゼンカバリーは3番人気。レースは3番手スタートで3コーナーから前を見る2番手に上がり、直線では前で失速したカネツクロスを交わしてそのまま押し切って勝利した。

 3勝目は2勝目から8年後の2005年にクラフトワークで挙げたもの。この時は函館記念(G3)、中山金杯(G3)と連勝していたことが評価されて1番人気。レースでは中団より前目の5番手からスタートするも、徐々に後ろへ位置を下げたところで直線に入り、前に残っていたエアシェイディを上がり最速の脚で差し切って勝利した。

 4勝目は3勝目から2年後の2007年にマツリダゴッホで挙げている。1番人気はダービー2着馬で、前走の中日新聞杯(G3)も2着に入ったインティライミ。マツリダゴッホはこの当時まだ条件戦を突破したばかりだったが、中山の適性も買われて2番人気だった。レースはインティライミが淀みないペースで逃げを打ち、4番手からの競馬。4コーナーで逃げるインティライミを捕まえるとあっさり交わし、そのまま直線押し切って後続に5馬身差をつける圧勝だった。

 ちなみにマツリダゴッホが、9番人気で有馬記念(G1)を勝つのは、AJCCを勝ったこの年の年末となる。

 5勝目は4勝目から2年後の09年にネヴァブションで挙げた。1番人気は前走の有馬記念4着が買われたドリームジャーニー。以下エアシェイディ、アルナスラインに続く4番人気だった。レースでは3番手からのスタート。4コーナーで2番手まで押し上げると、直線で逃げ馬が失速したのを交わし、そのまま後続を断ち切って押し切った。

 6勝目はネヴァブションで連覇。1番人気は皐月賞馬で前走マイルCS(G1)を4着に好走したキャプテントゥーレ。ネヴァブションは5番人気と前年より人気を下げていた。レースは5番手からスタートし、4コーナーで2番手まで一気に押し上げると、先頭を走っていた馬をゴール前でクビだけ交わした。

 そして7勝目が12年後となる昨年、キングオブコージで挙げたものだ。1番人気は菊花賞2着馬のオーソクレース、2番人気は前走天皇賞・秋(G1)で6着に敗れたものの、前哨戦の毎日王冠(G2)3着ポタジェで、これに続く3番人気だった。レースでは最内枠スタートということもあって、抑えて後方待機策。勝負所で外から上がり、直線では大外一気の脚で前にいた2頭を交わして1馬身半差をつけて勝利した。

 改めて振り返ってみると、逃げこそないが2番手、3番手から押し切る競馬もしていれば、昨年のように後方一気を見せる競馬もしているなど、伊達にキャリアを積んでいるわけではない、多彩な乗り方をしていることがよくわかる。

バビット 撮影:Ruriko.I

 そして、今年もバビットで参戦予定。前走の天皇賞・秋は2番手を進む積極策を採ったものの、逃げたパンサラッサのペースについて行けず、しんがり負けを喫したが、2走前のオールカマー(G2)では、ジェラルディーナから0.5秒差の4着と健闘している。

 今回の舞台はそのオールカマーと同じ。果たして8勝目を狙う横山典騎手は再び逃げを打つのか、はたまた後方待機策を採るのか。どんなレースを見せてくれるのか楽しみである。

ゴースト柴田

競馬歴30年超のアラフィフおやじ。自分の中では90年代で時間が止まっている
かのような名馬・怪物大好きな競馬懐古主義人間。ミスターシービーの菊花賞、マティリアルのスプリングS、ヒシアマソンのクリスタルCなど絶対届かない位置からの追い込みを見て未だに感激できるめでたい頭の持ち主。

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