タッチウッドあわや「除外」に武豊も冷や汗?皐月賞も桜花賞も有力馬に不戦敗の危機…「低レベル」と噂も出走ボーダーはハイレベルの矛盾

 17日にJRA主要4労組が調教師会に待遇改善を求めた団体交渉が行われた。2011年から施行されている賃金体系の廃止が焦点となったものの交渉は決裂。全く影響がなかった訳ではないが、開催中止という最悪の事態は免れた。

 裏事情はともかくとして、牡馬クラシックのトライアルは無事開催。土曜阪神の若葉S(L)を制したショウナンバシットと2着のラスハンメル、日曜中山のスプリングS(G2)を制したべラジオオペラ、2着のホウオウビスケッツ、3着のメタルスピードが優先出走権の獲得に成功した。

 まだ毎日杯(G3)の開催を残しているため、最終的なメンバーは確定していないが、皐月賞(G1)との感覚が詰まるため、近年の毎日杯組は日本ダービー(G1)やNHKマイルC(G1)へ向かう馬も増えてきた。そういう意味では暫定的とはいえ、本番に出走するメンバーの顔触れが分かりつつある状況である。

 その一方、抜けた馬のいない今年の3歳世代について、低レベルと評する噂もネットの掲示板やSNSで見掛けることもあるのだが、意外にも出走のボーダーは高めだった。

タッチウッドあわや「除外」に武豊騎手も冷や汗?

 ちなみに『netkeiba.com』が報じた21日の記事によると、「25日に行われる毎日杯次第で収得賞金順に変更があるとしつつ、現時点で皐月賞出走を表明している馬から回避馬が出ない場合、タッチウッドの収得賞金1200万円がボーダーとなる」とのこと。ただ名前の挙がった賞金上位の組には、ダート路線を歩んでいる馬の名前も含まれているため、実際のところはもう少しボーダーは下がりそうだ。

 タッチウッドといえば、皐月賞に武豊騎手とのコンビで向かうことが発表され、大きな注目を集めていた馬。一歩間違えればあわや除外という可能性もあっただけに、これには武豊騎手も冷や汗をかいたかもしれない。

 先日も桜花賞(G1)に直行を予定していたシンリョクカが、先述のタッチウッドを上回る1700万円の収得賞金ながら除外対象となったことも報じられたばかり。昨年の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)で2着に入った馬さえ、雲行きが怪しくなるのだから、少なくとも賞金面などを巡っての争いはハイレベルといえそうだ。

 その反面、ここまで混戦模様となった背景には、やはり世代レベルの低さが無関係ではないことも事実である。

 実際、昨夏の函館2歳S(G3)を皮切りにスタートした現3歳世代の重賞で複数回の勝利を手にした馬はドルチェモアとキタウイングの2頭のみ。前者は皐月賞に向かわずNHKマイルC(G1)が目標。後者も重賞2勝馬とはいえ、先日のチューリップ賞(G2)で7着と振るわなかったことを考えると、抜けた存在とも言い難い。

 何が勝っても不思議ではない混戦が続いたからこそ、レースの度に勝ち馬がコロコロと変わった結果、例年以上に賞金を持っている馬の増加へと繋がったといえるだろう。

 昨年のホープフルS(G1)を制したドゥラエレーデにしても14番人気で大金星を挙げた大穴の上に、今週末にドバイで行われるUAEダービー(G2)に出走を予定。皐月賞への参戦があるかどうかは分からない。牝馬は阪神JFを圧勝したリバティアイランド一強という見方も多いが、アルテミスS(G3)で2着に敗れたように、まだまだ絶対的な存在とまではいえない。

 昨年のG1レースで1番人気馬の連敗が話題となったが、今年も昨年以上に大荒れの春が待っている可能性もありそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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