【大阪杯】タスティエーラ、ソールオリエンス、キラーアビリティ、スタニングローズ、ジオグリフ…5頭のG1馬に勝利無し!狙いは最強5歳世代、ディープインパクト産駒の「ラストホープ」
G1馬5頭が参戦する今年の大阪杯だが…
今年の大阪杯(G1)には5頭のG1馬が出走する。昨年の日本ダービー(G1)馬タスティエーラ、同じく昨年の皐月賞(G1)馬ソールオリエンス、2021年ホープフルS(G1)馬キラーアビリティ、2022年秋華賞(G1)馬スタニングローズ、2022年皐月賞馬ジオグリフだ。だがこの5頭は現在の日本中央競馬会(JRA)におけるトップホースとは言い難い。
イクイノックスが引退した今、昨年の有馬記念(G1)を勝利したドウデュース、三冠牝馬リバティアイランド、二冠牝馬スターズオンアースの3頭がトップ3といえ、さらに菊花賞(G1)馬ドゥレッツァ、プログノーシス、ジャスティンパレスといった面々が、古馬中長距離路線のトップホース。これらの面々と比較すると、大阪杯に出走する5頭のG1馬は少々ランクが落ちる印象だ。では大阪杯においてこの5頭の勝算はいかほどだろうか。まずは各馬の成績を振り返ってみる。
タスティエーラは新馬戦、弥生賞ディープインパクト記念(G2)、日本ダービーの3勝。ただし菊花賞はドゥレッツァから0.6秒離された2着。有馬記念も不利があったとはいえ6着と今一つの内容だ。他のサトノクラウン産駒はオープンで結果が出せておらず、血統的にもひと押しが足りない。
ソールオリエンスは無敗の3連勝で皐月賞を制したが、その後は日本ダービー2着、セントライト記念(G2)2着、菊花賞3着。有馬記念は最内枠で4番人気ながら8着に大敗し、前走の中山記念(G2)も1番人気で4着。昨年の勢いは感じられない。また器用さに欠けるタイプでもあり、阪神内回りコースもプラスにはならないだろう。
キラーアビリティはホープフルSを勝利し、直行の皐月賞で13着に大敗すると、その後も凡走が続き、ハンデ戦の中日新聞杯(G3)でようやく勝利。しかし前々走は連覇を狙った中日新聞杯で4着と、早熟型だった印象も強い。前走はサウジアラビアのネオムターフC(G2)で2着と頑張ったが、国内のレースではないだけに割引が必要だろう。
スタニングローズは秋華賞でスターズオンアースとナミュールを破るも、その後はエリザベス女王杯(G1)14着、中山記念5着、ヴィクトリアマイル(G1)12着と結果が出ず。今回は昨年5月以来の実戦でレース勘に不安がある。
ジオグリフは皐月賞でイクイノックスとドウデュースを負かしたものの、その後に香港遠征、サウジアラビア遠征、ドバイ遠征、地方交流重賞、チャンピオンズC(G1)と各路線を転々。前走3着の中山記念から芝路線に復帰したが、かつての勢いは感じられない。
この5頭のうち、なんとスタニングローズ以外の4頭は3勝しかしていない。そしてタスティエーラとソールオリエンス以外の3頭は、最後に勝利したのが2022年。G1に昇格して以降、過去7年の大阪杯優勝馬はすべて4勝以上の実績があり、3勝馬の勝利はゼロ。この時点でスタニングローズ以外の4頭はアウトだ。そのスタニングローズは昨年のヴィクトリアマイル以来の休み明けであり、牝馬相手のエリザベス女王杯14着、ヴィクトリアマイル12着の内容から力関係に疑問がある。
狙いは最強5歳世代、ディープインパクト産駒の「ラストホープ」
となれば、ここは他の有力馬から勝ち馬を探るのが得策だろう。中でも期待したいのは最強5歳世代で急成長を遂げた、ディープインパクト産駒のラストホープ・プラダリア(牡5歳、栗東・池添学厩舎)だ。
イクイノックス、ドウデュース、ジャスティンパレス、スターズオンアースが結果を出しているように、現5歳世代の実績は群を抜いている。この大阪杯にも前述のジオグリフ、キラーアビリティ、スタニングローズやエピファニー、リカンカブール、ルージュエヴァイユ、ローシャムパークが出走するが、中でも期待が高まるのがプラダリアである。
現4歳世代が最終世代となるディープインパクト産駒だが、その4歳世代の成績は今一つ。活躍馬が見当たらないのが現状だ。しかし現5歳世代はプラダリアだけでなく、ジャスティンパレス、ゼッフィーロ、ドーブネ、サリエラが重賞戦線で活躍。まさに最強世代に相応しい活躍を見せている。
プラダリアはここまで青葉賞(G2)、京都大賞典(G2)、京都記念(G2)を勝利しているが、ドウデュースが勝利した日本ダービーで5着、イクイノックスが勝利した宝塚記念(G1)でも6着とG1レースでも引けは取らない。しかも日本ダービーで同馬に先着した4頭(ドウデュース・イクイノックス・アスクビクターモア・ダノンベルーガ)は不在。そして宝塚記念も同馬に先着した5頭(イクイノックス・スルーセブンシーズ・ジャスティンパレス・ジェラルディーナ・ディープボンド)も不在となれば、この路線では十分に主役を張れる存在といっていいだろう。
昨年の有馬記念は14着に大敗しているが、これはB.ムルザバエフ騎手への乗り替わりが合わなかった印象で度外視でき、全4勝をあげる主戦の池添謙一騎手が騎乗するとなれば、大いに期待できる。そして京都大賞典や京都記念で見せたように、流れに応じて好位でレースを進められる器用さがあるのも、阪神内回りコースで行われる大阪杯にはもってこいだ。
また高松宮記念(G1)が影響を受けたように、仮に雨の影響が残って馬場が悪化したとしても、それも同馬を後押しするものになる。これまで阪神コースや京都大賞典など重馬場で2勝しており、何ら不安は感じない。
最終追い切りは管理する池添調教師も満足する動きを披露し、「前走よりもう1段上にあると思います」と前走からの上積みに手応えを感じている。さらに「馬の充実ぶりを見ても、今回が一番のチャンスだと思う」とのコメントからも相当な自信がうかがえる。
5頭のG1馬が注目される今年の大阪杯だが、低レベルといわれる4歳世代や早熟型が懸念される馬ではなく、今が完成期に入ったディープインパクト産駒のラストホープ“プラダリア”に注目したい。