【京成杯AH】柴田善臣「単勝161.8倍」で波乱演出! アスコリピチェーノを上回る末脚に「偉い馬」
8日、中山競馬場で行われた京成杯オータムH(G3)は、1番人気のアスコリピチェーノ(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)が完勝。異例の参戦となった昨年の2歳女王が、2つ目のG1タイトル獲得へ絶好のスタートを切った。
アスコリピチェーノの強さが際立った今年の京成杯AH。特に主戦のC.ルメール騎手が「すごくいい手応え」と振り返った最後の直線の末脚は強烈の一言。上がり3ハロン32.7秒という鬼脚で古馬たちを一蹴した走りは、まさに次代のマイル女王の貫禄だった。
その一方で、最後の直線でアスコリピチェーノに負けない輝きを放ったのが14番人気の伏兵タイムトゥヘヴン(牡6歳、美浦・戸田博文厩舎)だった。
16頭立てのレースで、14番手というほぼ最後方の位置で最後の直線を迎えたタイムトゥヘヴンだったが、中団から先行勢をまとめて飲み込んだ勝ち馬の後をたどるように、猛烈な勢いで伸びた。最後はアタマ差で3着サンライズロナウドを捉えるのがやっとという完敗だったが、記録した上がり3ハロン32.4秒はアスコリピチェーノを抑えてメンバー最速。単勝161.8倍だったとは思えない、目の覚めるような豪脚だった。
「調教に乗って、前回よりも状態が上がっているのを感じていました」
レース後、そう振り返ったのは大ベテランの柴田善臣騎手だ。コンビを組んだ前走の関屋記念(G3)では最後方から新潟の長い直線に懸けたが、流れが向かずに12着。上がり3ハロン32.9秒の末脚を発揮したが、前が止まらなかった。
だが、柴田善騎手が「中山の坂はプラスになると思っていた」と振り返った通り、今回は上手く中山の坂を味方につけた格好だ。
「乗鞍が少ないこともあって6勝止まりの柴田善騎手ですが、夏場になって調子を上げてきた印象です。
特に阿賀野川特別(2勝クラス)を勝ったピースワンデュックは、秋の菊花賞(G1)でも楽しみなコンビ。本人も長丁場の本番に向けて『トレーニングしないとな』と気合が入っている様子でした。現在、現役最年長の58歳でレースを勝つたびに最年長記録を更新していますが、まだまだ元気。今日の騎乗を見ても、秋も存在感を発揮してくれそうです」(競馬記者)
「よく頑張ってくれました、偉い馬ですね」(柴田善騎手)
ちなみに2着タイムトゥヘヴンの柴田善騎手が58歳、3着サンライズロナウドの横山典弘騎手が56歳、4着だったセルバーグの武豊騎手が55歳と今年の京成杯AHは、45歳のルメール騎手さえ“若手”になるようなベテラン騎手の活躍が光った。